万年筆を使ってみよう
Vol.4万年筆でお手紙を書こう
~美しい宛名書きのコツ~
万年筆のなめらかな書き心地に慣れてきたら、今度は手紙の宛名書きにチャレンジしてみましょう。
美しいバランスで書かれた宛名は、それだけで相手への敬意と心遣いを伝えることができ、手書きの温かみを届けることができます。
ここでは、はがき・縦型封筒・横型封筒それぞれの美しい書き方をわかりやすく解説します。
はがきの宛名書き
はがきは最もポピュラーな手紙の形。季節の便りや近況報告、お礼状まで、様々なシーンで親しまれています。
コンパクトさが魅力である一方で、限られたスペースの中で美しくバランス良く仕上げるにはコツも必要。
郵便番号枠を基準に文字を配置すれば、誰でも上品で読みやすい宛名を書くことができるでしょう。
手順とポイント
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郵便番号を書く
POINT数字を斜めに揃えるとまとまりがあってきれいです。
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宛名の位置を決める
宛名は、郵便番号の1桁目と2桁目の間 (a) を中心線にして、左右均等に文字を配置していきます。苗字と名前の間はあけず、等分を意識して割り付けること。上下とも (b) の線より出ないように配置しましょう。
POINT相手への敬意を示すため、「様」を一番大きく書きます。
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送り先住所を書く
住所の文字の大きさは宛名よりもやや小さめにします。(c) を中心線に、都道府県名から書き始め、番地まで1行に収まる場合は1行で、長い場合は適切な箇所で改行しましょう。住所の文字が長く2行になる場合は、2行目を1行目より半文字程度下げて書き始めます。
市区町村名などで区切ると読みやすくなります。POINT2行目は1行目より小さな文字で書くとバランスがよく、スッキリします。
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自分の名前を書く位置を決める
次に、差出人である自分の住所・名前を書きます。ここも、バランスをとるため、まずは名前からスタート。名前の中心は郵便番号の2桁目と3桁目の間に合わせるとともに (f) 、名前の左端は切手の端と揃えて (e) 。この位置を基準に、名前の文字数に応じて上下にバランス良く配置します。
POINT自分の名前は小さくしがちですが、
全体の中で2番目に大きい文字になるようにするのがコツです。 -
自分の住所を書く
郵便番号枠である (g) の線より出ないように配置します。
最後に自分の郵便番号を書いて完成です。
縦型封筒の宛名書き
縦型封筒は格式のある印象を与える、フォーマルな手紙に最適な形式です。日本の伝統的な手紙文化を受け継ぐ縦書きスタイルは、目上の方への手紙や改まった挨拶状、お礼状などで重宝されます。表面には相手への敬意を込めた宛名を、裏面には自分の情報を控えめに記すという構成が、日本人の美意識にも通じる上品さを演出してくれます。封筒の縦のラインを活かした文字配置で、凛とした美しさを表現しましょう。
手順とポイント
表
まずは封筒左上に貼る切手の位置を決めます。
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郵便番号を書く
POINT数字を斜めに揃えるとまとまりがあってきれいです。
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宛名の位置を決める
宛名は封筒自体の中心(a) を中心線にして、左右均等に文字を配置していきます。苗字と名前の間はあけず、等分を意識して割り付けること。
上下のスペースが均等になるように宛名を配置します。上下の余白が気になるかもしれませんが、このくらい空いている方がバランスが良いです。POINT相手への敬意を示すため、「様」を一番大きく書きます。
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住所の位置を決める
中心は郵便番号の6 桁目と7 桁目の間(b)を基準に、切手の下ライン(c) から書き始めます。縦型封筒は長いため、1行に収めるか2行に分けるかを最初にイメージして書きましょう。
POINT2行になる場合、2行目は1行目より小さな文字で書くとバランスがよく、スッキリします。
裏
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自分の名前・住所を書く
封筒の裏面の左半分にバランスよく収めます。
表面と同じように、まずは名前から書き始め、住所は名前より少し上から書き始めます。また、名前と住所は下のライン(d) が揃うように計算して配置しましょう。 -
最後に自分の郵便番号を書く
名前・住所よりも上に、余裕をもって書きます。
横型封筒の宛名書き
横型封筒は、現代的でビジネスシーンでもよく使われます。国際的にもスタンダードであるため海外とのやり取りにも適していますし、宛名にアルファベットを使う場合でもスムーズです。横のラインを意識した文字配置で、洗練された印象の宛名を完成させましょう。
手順とポイント
表
まずは封筒右上(※)に貼る切手の位置を決めます。切手を貼る際に、右側と上側の余白が同じになるようにします。 ※はがきや縦型封筒と異なり、右側に貼ります。機械で読み取る際に封筒を縦にして読みとるため
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郵便番号から書く
左から2文字程度空けたところから書き始めます。位置は切手の中心を目安にします(a)。
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住所の位置を決める
切手の下のライン(b) が文字の下ラインになるように配置し、住所の書き出しは郵便番号と揃えて書き出します。横書きの場合は、番地等の数字を全て算用数字に。
POINT2行になる場合、2行目は1行目より小さな文字で書くとバランスがよく、スッキリします。
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宛名の位置を決める
宛名は封筒の中央にくるように配置します。高さは真ん中のラインを基準に(c)、左右は1文字ずつ隙間をあけます。
POINT相手への敬意を示すため、「様」を一番大きく書きます。
裏
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自分の住所と名前の場所を決める
封じ口の下中央に差出人の住所・名前を記載します。封じ口から封筒の下に三角形をイメージし、その範囲に収まるように、郵便番号→住所→名前の順に書きます。
POINT書き終わりは住所と名前のライン (e) を揃えます。
POINT
はがき・封筒に書くためのインキ選びのコツ
手紙を書く時に使うインキは、これでなければいけないといったルールはありません。
凛とした存在感と力強い美しさを表現できる黒のインキはもちろんのこと、
ブルー系のインキなら濃淡や柔らかさが出て、より万年筆らしい味わいになります。
万年筆で手紙を書く、
その行為が相手に届く
メールやSNS 上でのメッセージが当たり前になった今の時代だからこそ、手書きの文字には特別な力が宿っています。さまざまな思いをめぐらせながら、丁寧に万年筆の美しい線で書かれた宛名──。
それはきっと、開封する前から相手の心を温かくしてくれるでしょう。ぜひ、心を込めて、大切に書いてみてください。



