営業の概況(2023年12月期) 業績の概況
当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)における経済環境は、国内においては新型コロナウイルス感染症に伴う各種制限が撤廃され、外国人観光客や行動制限のないイベントも増加する等、社会経済活動は緩やかに回復が進みました。一方、海外において、ウクライナ情勢の長期化をはじめとした地政学リスクの影響による物価の高止まりやそれを受けた金融引き締め等による世界経済の景気減速傾向が続く等、先行き不透明な状況となりました。このような環境の下、当社グループにおきましては、国内では、筆記具需要が回復傾向となり、市場は堅調に推移しました。海外では、新興国の伸長や、米ドル及びユーロに対する円安がそれぞれ進み為替状況が追い風となりましたが、物価の高騰を受け、先進国の主要マーケットの需要は低調に推移しました。利益面では労務費その他の経費増加により、特に下期に苦戦しました。この結果、当期間の連結売上高は1,185億90百万円(前期比105.1%)となりました。国内外別では、国内市場における連結売上高は289億23百万円(前期比108.5%)、海外市場における連結売上高は896億67百万円(前期比104.0%)となりました。中期経営計画に基づく事業別実績では、筆記具事業における連結売上高は1,062億73百万円(前期比104.5%)、非筆記具事業における連結売上高は123億17百万円(前期比110.3%)となりました。また、損益につきましては連結営業利益が190億3百万円(前期比89.4%)、連結経常利益が208億40百万円(前期比92.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益は136億61百万円(前期比86.6%)となりました。
(参考URL当社中期経営計画 https://www.pilot.co.jp/company/ir/management/plan.html)
(日本セグメント)
ステイショナリー用品事業においては、国内販売ではインバウンドやノベルティ需要の回復が見られました。店頭需要では「フリクションボールノックゾーン」の定番化が進み、新たなターゲット層に向けた「フリクションWaai(ワーイ)」が好評を得ました。また、高価格シャープペンシルブームの先駆けとなった「S20(エストゥエンティ)」、「S30(エスサーティ)」の販売の好調も続いております。加えて、SNSを使った販促キャンペーン等で市場を活性化し、市場回復を促進しました。さらに、当期当社グループとなった、手帳・ノート類等のデザインステイショナリーの企画・製造を行う株式会社マークスグループ・ホールディングスの売上も貢献しました。輸出においては、フィリピン等のASEAN諸国やインドを中心に新興国向けの売上が伸長しました。
玩具事業においては、物価高騰により玩具業界全般が伸び悩む中、主力商品である「メルちゃん」シリーズや「おふろのおもちゃ」シリーズが年末商戦において健闘しましたが、売上は減少しました。
産業資材・その他事業においては、産業資材事業の主力のセラミックス製品が半導体市況低迷の影響を受け、減収となりましたが、その他事業でマークス商品が売上に貢献しました。利益面では、連結子会社向けの売上高減少に伴う主要製品の生産数量減少等による原価率の上昇に加え、将来の成長のための積極的な広告投資や人財投資を実施したことに伴う販管費等の増加により、減益となりました。
(米州セグメント)
米国市場においてゲルインキボールペン市場でトップシェアを維持している「G-2(ジーツー)」や「フリクション」シリーズ等の販売も堅調に推移しました。また、ブラジル市場においてはホワイトボード用マーカー「Vボードマスター」を中心に伸長しました。さらに、円安の影響も加わり、増収増益となりました。
(欧州セグメント)
物価高騰を受けて低調な市況が続きました。「フリクション」シリーズ等、比較的高価な付加価値商品群が買い控えられ、加えて労務費等の販管費増加もあり、円安の恩恵は受けたものの減収減益となりました。
(アジアセグメント)
中国においてゼロコロナ政策の解除後も景気が低調に推移し、特に学生の需要が伸び悩んだことから苦戦しました。その他の国においては日本製の細書きの筆記具の需要が高く、ゲルインキボールペン「ジュース」シリーズ等を中心に概ね好調に推移しましたが、セグメント全体としては減収減益となりました。
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