「閃く」「かく」「かいたものを見返す」の一連の流れで、自分と深く向き合うことができる
[紙刺繍jtmm san. さん / 紙刺繍]
2025/05/15
紙に繊細な手刺繍を施してさまざまな作品をつくる紙刺繍jtmm san.さんをご紹介します。
「手にしてくださった方の生活を彩ることができたら」という気持ちで、紙に刺繍糸で手刺繍をして、インテリアカード、メッセージカード、ポチ袋、ご祝儀袋など、さまざまな物の制作に励んでいます。特にメッセージカードは、お客様に「言葉の贈り物」を大切にして頂けたらという思いと願いでお作りしています。時折お客様から「書くことが苦手で、こんな綺麗なカードに書けない」とお言葉頂きますが、私からしたらとんでもない! 文字は大切な個性で、相手を思って書いた文字の上には、「想い」が表れて、美しく温かいものです。「文字と共に心を贈ること」を、創作活動を通して今後もお手伝いしたいです。また、オリジナルカードの刺繍のアクセントに「手書き文字」を添えることがあります。作品に合う文字の太さや色、形にこだわりがあるので、ペン選びはすごく重要。「san.さんの文字が好き」と言って頂けることがあり、とても嬉しく思います。
一番アイデアが生まれてくるのは、落書きしている瞬間。なんとなく描いた絵やデザインが「これいいかも!」と、作品になることがたくさんあります。寝起きに閃いて、慌てて紙とペンを用意したりもします。また、「糸や紙などの材料を最後まで活かすためにどうすれば良いか」という観点から見つめていると、ふとアイデアを思いつくこともあります。大好きなアンティークやヴィンテージ、自然からもインスピレーションを得たりします。閃いたことをメモすることで、頭の中が整理されたり、付け加えたい新たなアイデアが浮かんできたりします。逆に意気込んでいる時は、不思議と何も浮かびません。アイデアが途中で途切れることもある時は「今は時期じゃない」と思って一度寝かせておくと、何年か後に作品になったりもします。
1つ目は「お客様が喜んでくださる物はどんな物だろうと考える」こと。どうすれば、飾りたい、贈りたいと思っていただけるのか。デザイン、色、大きさ、バランス、形、位置、オリジナリティを混ぜ合わせながら追求しています。
2つ目は「求められていることを丁寧に」。リアルな作品を求める方、思い出となる作品を求める方......、ご依頼内容はいろいろです。時には「お任せします」と仰ってくださる方も。考えを丁寧に伺うこと、好みを想像すること、ご要望に作品でしっかりとお応えすることを心がけています。
3つ目は、「日々感謝と日々精進」。ありがたいことに、ご依頼頂いて作品を褒めて頂ける機会があります。それに甘んじることなく、よりよい作品を目指して努力していきたいです。
「自分を表現できる大切な手段」です。「閃く」→「かく」→「かいたものを見返す」、この一連の流れで自分と深く向き合うことができて、最も適した表現を探る時間をくれます。かくことは、こうした振り返りの時間をくれるので好きです。また手元に「記録」として残ったものが、ニュアンスや良さを味わったり、比較したりして、作品をよりよくするヒントとなってくれます。その時の感情や様子、なぜそれを「かきたかったのか」という理由を思い出させてくれるところも素敵だと思います。
原動力となるのは「ワクワク感」。閃いたワクワク、作っている時のワクワク、形になった時のワクワク......。「楽しいな」と思う気持ちが、創り出すことの源です。そしてお客様に喜んでもらえた時、それはさらに大きな力となります。誰かに喜んで頂けること、その一端を自分が担えたことに、感謝の気持ちでいっぱいになって、幸せなことだと心から感じます。また、地域の方やSNSのフォロワー様、家族からの応援も、とても励みになっています。たくさんの方々に支えられて、創造できる今があると実感しています。
photoトップメイン:オーダー品の中で一番人気のあるリアル動物刺繍。 photo1:思い描いた図案が、糸で彩られていく瞬間。 photo2:都道府県をモチーフとした作品。手描きした下絵を本番の紙に写しとって、さまざまな色の糸で刺していく。 photo3:プレゼントラッピング風のメッセージカード。 photo4:さまざまな色彩の刺繍糸の中から、描きたい色を選んでひと針ひと針刺して仕上げる。 photo5:瓶に無造作に入れた残糸。偶然の糸色の出会いから作りたい物が閃く。
この記事をシェアする