描くことは、私の人生を導いてくれるライフナビゲーション
[田中 みゆ紀 さん / 点描曼荼羅画]
2023/12/15
まるで宇宙空間にきらめく光をひと粒ひと粒映すように丁寧に点を打って「点描曼荼羅画」を描く田中みゆ紀さんをご紹介します。
宙を奏でる点描曼荼羅画の認定講師として活動するかたわら、点描曼荼羅画アーティストとして数多くの展示会に出展しています。コンパスと定規、シャープペンシルを使って下図を描き、そこに生まれた形に導かれながら、黒い紙の宇宙に光を降ろしていくように直感に従ってカラーペンでひと粒ひと粒点を打って描いていきます。点描ですので、すべてを点で描くのがセオリーで、線や塗りつぶしは一切ありません。作品をご覧いただいた方々からは、「優しい雰囲気の点描曼荼羅画に癒されて、ずっと見ていたい」「キャプションがなくても、誰が描いた作品かわかる」という言葉をいただくことがあります。
私の描く点描曼荼羅画は、たとえば植物などの具体的なアイデアがはじめにあるわけでなく、直感を信じてすべてを描き上げていきます。描きあがりのイメージが全くないところからスタートして、その時その時の一瞬の閃きをキャッチして、「今ここ」の感動を繋ぎ合わせながら完成へと導かれていく感覚があります。
点のひと粒ひと粒を、まん丸な美しい点に表現できるように心がけています。そして、直感としてつかんだ色をできるだけそのまま再現するために、ペンの色を何種類も重ねたりしています。色を乗せていく筆記具は、黒い紙に発色するカラーペンで、主に使っているのはパイロットさんのゲルインキボールペン「ジュース」や「イルミリー」シリーズ。色のバリエーションは数えきれないほどたくさん持っています。70センチ四方の大きな作品を描くのは長い旅に出るような感覚で、仕上げるのに6〜7カ月かかることも。完成した作品はどれも我が子のようでかわいらしくて愛おしいですね。
信頼できる友だちのような存在です。一心に点を打つ点描作業には瞑想のような効果があって心地よく、自身の内面が整っていく感覚があります。描き続けていると、目の前の感情にとらわれることが少なくなり、「自分の中にこそ、自分を癒す源泉がある」ことに氣がつきました。そして長い時間をかけて点を描いていると、そのプロセスでさまざまな氣づきがあります。昔、自分自身に投げかけた問いへの答えが、ふとひらめくような不思議な体験も。私にとって描くことは、まるで人生を導いてくれるカーナビならぬ「ライフナビゲーション」のような役割を果たしてくれています。
完成した時は何より楽しく大きな喜びがあること、そして展示会などでご覧いただいた方々の驚きの声が大変励みであり、創作活動の大きな原動力となっています。今後は、作品を描き続けることはもちろん、点描曼荼羅画作品をアレンジしたオリジナルアイテムをつくっていけたらうれしいですね。
photoトップメイン:点描曼荼羅作品「星冴ゆる頃 君に逢える」の一部分。 photo 01:宇宙に見立てた黒い紙に、カラーペンで点を打ちながら描いていく。 photo 02:9センチ四方の小さな作品は数時間で仕上げることができる。 photo 03:ひと粒ひと粒がまん丸になるように丁寧に点を描くことが、仕上がりの質を左右する。 photo 04:描き続けていると瞑想のような効果があり、心地よく内面が整っていく。 photo 05:さまざまな展示会への出展は、大きな喜びであり、創作活動の原動力。
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