2021/09/24
ペンの先端に秘められた「ボールペン」という名前の由来。
とても精密なボールペンの先端を
のぞいてみると...
今回は、誰もが知っている「ボールペン」のお話です。
その歴史を遡ると、ハンガリーのビロさんが発明した実用的なボールペンが1943年に登場。日本では第二次世界大戦後から市場に出始めて、パイロットでは1961年に生産・販売がスタートしました。
万年筆にインキを吸入したり、インキをつけたりしながら文字を書くのが一般的だった時代、ボールペンの出現は当時の人々にとってインパクトのある出来事だったことでしょう。
ところで、この「ボールペン」という名前、どうしてそう呼ばれるようになったのか、知っていますか?
答えは、その名のとおり先端に金属の小さな「ボール」が入っているから。ちなみに英語では「ballpoint pen」と呼ばれています。
このボールが紙の上でクルクルと回りながら、インキをすばやく転写していくという仕組み。うまく考えられていますよね。
ボールの大きさは、小さいもので直径0.25ミリから1.6ミリくらいまで。「ボール」を支える金属製の「ホルダー」と合わせて、ボールペンの先端部分は「チップ」と呼ばれます。
このチップをつくるのが、とても大変。小さなボールが安定してスムーズに回転するためには、支えるホルダーとボールの形状がミクロなレベルでフィットしていなければなりません。
ボールが取れないようにしっかり支えながらも、インキがスムーズに流れ出る通り道をキープできるように、とても精密なつくりになっています。この小さなチップの中に、高度な技術がたくさん詰まっていて、なめらかな書き味が生まれているのですね。スルスルと心地よく書けるのは当たり前、とつい思いがちですが、実はとっても繊細な商品なのです。
さて問題です。
「0.5ミリボールペンで書いた線の幅は、何ミリ? 」
ボールペンには、0.3ミリとか0.5ミリと数字が記されていますが、これは何のサイズでしょう。
正解は「ボールの直径」です。書いた線の幅ではありません。土の上でボールを転がしたときにできる跡を想像してみてください。ボールが接地する幅は直径よりも当然小さくなりますね。
書いた線の幅はボール径の半分ほど※。ボールのサイズと線の幅の関係性を図にしました。
お手元のボールペンのペン先を、ついじっと見つめてみたという方もいるかもしれません。直径わずかコンマ数ミリのボールが回転している様子は、小さすぎて肉眼で確認するのはまず難しいでしょう。よく見れば見るほど、ボールペンの緻密なつくりに驚くばかりです。
※実際の筆記線幅は、ボールペンやインキの種類、紙質などによって異なります。
下のイラストは、ボールペンのインキの種類を示しています。油性インキ、水性インキ、ゲルインキと、大きく分けて3種類あることはご存じでしょうか。さて、どれがどのインキでしょう? 次回の「かく、を学ぶ」では、ボールペンのインキについて詳しくご紹介したいと思います。
〈関連記事を読む〉
〉〉〉油性、水性、ゲル、顔料、染料...、ボールペンのインキってどう違う?
〉〉〉「やってはいけない!」ボールペンが書けなくなる4つのコト
<
1
2
>
この記事をシェアする