元サッカー日本女子代表 丸山 桂里奈 さん 「手紙を見ると、その人がそこにいる! と感じる」

インタビュー

2021/10/29

元サッカー日本女子代表 丸山 桂里奈 さん 「手紙を見ると、その人がそこにいる! と感じる」

元サッカー日本女子代表 丸山 桂里奈 さん インタビュー

サッカー日本女子代表チーム「なでしこジャパン」のメンバーとして世界を舞台に活躍し、現在はタレントとして人気を集める丸山桂里奈さん。子どもの頃から今にいたるまで、手書きでメッセージを伝えることを大切にしているという丸山さんの素顔と「字を書くこと」へのこだわりに迫ります。

「書くことは身体の一部。手書きの字は、
その人の気持ちがすごく伝わります」

―本番前に必ず、共演する方々に手書きのメッセージを渡すというエピソードは有名ですが、昔からよくお手紙を書かれていたのですか?

私が字を書くようになったのは、家族の影響が大きいですね。父も母も出掛ける時にはメモや付箋で「どこで待ってるよ」とか「どこへ行ってきます」とか、必ず字にして自分の足跡を残す家だったんです。そんな環境で育ったので、子どもの頃から書くことが当たり前になってる。それが、私が手紙を書く始まりな気がします。


―印象に残っている手紙はありますか?

小学生の時にとても好きだった先生がものすごく字を大事にする方だったんですよ。今はもう葉書のやり取りくらいですが、小学生の頃はよく手紙のやり取りをしていました。

中学生時代には手紙が流行っていましたね。授業中、先生に見つからないようにそっと渡したり、当時からとにかくずっと字を書いていた記憶があります。大人になってからも、誕生日プレゼントには必ずメッセージカードを書いて添えますし、サッカーの現役時代も選手同士で手紙のやり取りをしていました。


―タレント活動をするようになってからも、その延長でメッセージを手書きしていらっしゃるのでしょうか。

そうですね。自分の中で「字を書いて始まる」という思いがあるし、単純にすごく字を書くのが好きなんですよ。手紙を書く人が少なくなったといわれる時代ですが、どんなに時代が変わっても、私はきっとずっと字を書き続けていくと思います。

人ってみんな、手で書く字は似ているようでひとりひとり違うじゃないですか。だからやっぱり手書きの字は、その人の気持ちがすごく伝わる、そう思っています。


―共演する方々全員となると、数も多くなると思いますが、内容は書く人によって変えていますか? いつもどんな風にコメントを考えているのでしょう。

まず名前を書くと相手の様子が思い浮かんで、その日の感覚で、その人への思いだとか、季節や気候のことだとかを書いています。


―メッセージのことについて書いた丸山さんの本『丸山式「謎手紙」のススメ』の中でも、「背後に気をつけてください」など、独特なメッセージが印象的でしたが、あれはどんな意味なのですか?

今日はすごく背後がゾワゾワするなっていう日は、そのことをお伝えします。あと、人間って誰でも幸せな時って、それが当たり前になって調子に乗ってしまうじゃないですか(笑)。そういう時こそ背後が危ないって思うんです。だからそんな顔つきの人には、「ちょっと気が緩んでるぞ」「今日は背後に気をつけて」、みたいな忠告のようなことを書くようにしています。伝えておけば後悔はないかなと思って...。


―ずっと書き続けるというのは本当にすごいことだと思います。でもずっと続けていると、話のネタが尽きてしまったりしませんか?

それはないですね。書いていくと自然に言葉が出てくるし、やっぱり毎日変化がありますから。自分の気持ちを書く源は、ずっとなくならない気がしています。最近では、皆さんが気を遣ってくれて「毎回大変だから、もうここでスパッとやめてもいいよ」なんておっしゃるんですけど、書くことは自分の身体の一部っていうと大げさかもしれませんが、私から書くことを切り離すと、仕事に向かえなくなっちゃう気がして、やめる気は全くありません。

サッカー選手時代も、「アレを食べて、コレを身につけて」というルーティーンがあったのですがそれと同じです。テレビに出演させてもらう時、はじめましての人もそうでない人も、その人への誠意を込めて言葉をお渡しするのが、私にとってテレビのお仕事のルーティーンになっています。


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左:取材に訪れた楽屋には、当日、共演予定の方々へのメッセージが並んでいた。右:手書きのメッセージには、丸山さんセレクトの駄菓子を添えて共演者の方々へ手渡すという。

 
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「iPadよりも手描きの方が
『自分が描いているな〜』という実感があっていい!」

―いつもどんな筆記具を使って書いているのですか?

絵を描く時は、鉛筆で下書きした線の上から黒の色鉛筆でなぞって、その上から色鉛筆で塗っています。鉛筆や色鉛筆は子どもの頃から馴染みのある筆記具なので、今もよく使っていますね。

メッセージを書く時はボールペンを使っています。文具店やスーパーで手軽に手に入るものを自分で選んで買っています。色は黒で書くことが多いですね。前にオレンジや黄色で書いた時に、何て書いてあるか分からないって言われたことがあって…。黒で書く方が誰にとっても読みやすいですし、やっぱり「何事も黒で始まる」というイメージがありますよね。


―これはパイロットの水性ボールペン「Vコーン」ですね?

そうなんですね! このペンは実は黒以外に赤や青のペンも持っていて、自宅にもたくさん置いてあるんですよ。ペンを選ぶ時は、書きやすさやインキの量は大事ですよね。あと、かすれないというのもポイントです。このパイロットのペンは、インキもたっぷり出て、めっちゃ書きやすくてかなりいいですよ。


―万年筆を使われることはあるのでしょうか?

一時期すごく万年筆にハマっていたんですよね。誕生日のカードや改まって書くお手紙に使っていました。でもインキを補充しなきゃいけないのが面倒になっちゃって。やっぱりお手軽でリーズナブルなボールペンになりました。

このペンはインキのイメージが万年筆に近いですよね。ペンのボディが透けていて、インキが流れていく部分もなんだか万年筆に似ていませんか?つい、じーっと見ちゃう。


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メッセージを書く時には、パイロットの水性ボールペン「Vコーン(黒)」をご愛用。筆記具用のポーチと付箋用のポーチを分けていつも携帯している。


―いろいろなデザインの付箋をたくさんお持ちですが、メッセージはいつも付箋ですか?

昔の付箋は黄色のシンプルなものだったけど、最近はいろいろな形のおもしろいものが出てきたから、たくさん買い集めていつも使っています。メッセージをお渡しすると、皆さんが付箋の形をおもしろがってコメントを返してくださるのが嬉しいという理由もありますね。


―ご主人の本並建治さんにも手書きのメッセージを渡すことはあるのでしょうか。

ロケで家を空けることがありますから、そういう時は付箋に手紙を書いて出掛けます。あとは、作り置きのおかずに、「朝はこれ、昼はこれを食べてね」というメッセージをつけたり、とにかく付箋をいろいろ活用しています。やっぱり子どもの頃に体験した家族からの影響が大きいのかな。


―YouTubeチャンネルでは、オリジナルキャラクターをiPadで描かれていましたが、やはり、iPadと手描きでは感覚は違いますか?

違いますね。ちょっと表現が難しいですが、iPadは自分が描いているんだけど、どこか誘導されているような、スラーっと描ける感じがあるじゃないですか。でも鉛筆だと、本当に自分の意思でめっちゃ描けますよね。もちろんiPadも自分で描いたことには違いないんだけど、すごくうまく描けた気持ちになりません? これはこれでいい意味ですごいことなんですけどね。

手描きの場合は本当に自分が描いた通りに、線が描けます。一発でキレイに描けることなんてなくて、また消しゴムで消して何回でも描き直せるところもすごくいいところだと思います。「本当に自分が描いてるな~」っていう実感があって、やっぱり手描きの方がいいですよね。

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「現役時代、365日ノートに書いていたエネルギーが
今、全部手紙に向かっているのかもしれない」

―『丸山式「謎手紙」のススメ』の中で、サッカー選手時代には毎日日記をつけていたというエピソードがありました。どんなことを書いていたのでしょうか?

現役時代、遠征で澤穂希さんと同じ部屋だった時に365日ノートを書くことを教えてもらってから、ずっと書いていました。毎日、その日に思ったことやサッカーのことを結構細かく書いていましたね。

現役選手の時はずっとそれが日課になっていたんですけど、テレビのお仕事をするようになってからはやることが増えてきて、今は365日ノートを書けていません。私は血液型がO型なんですけど、昔はA型寄りのO型だったのに、大人になったらO型の性質が強く出てきちゃって、忘れがちになったみたい。特に結婚してからは、寝る前まで晩酌しちゃうから(笑)。

でもまた最近、例えば共演する人の誕生日やその人の好みを聞いたら、ノートにメモしてちゃんと残していこうかな、なんて思っています。


―普段、手帳は使っていらっしゃいますか?

前は、手帳に日記を書いていたんですよ。でも自宅にテレビの撮影が入った時に、日記を見られちゃったことがあったんです。すごく赤裸々に日常のことを書いてあって(苦笑)、あまりに記録を残しすぎるのもどうかなと思っています。昔のことが書いてあるものを、例えば旦那さんが見た時のことを考えるといかがなものかと。もちろん、過去があるから今があるんですけど、やっぱり今から未来が大事ですよね。

今思えば、これまで日記を毎日書いていたエネルギーを、手紙に全部ぶつけてるっていうのもあるかもしれないですね。だから、やたらと手紙を書きたがるっていうことにつながってるように思います。


―長い手紙も書かれるのですか?

海外へ行った時は、必ず葉書や手紙を書いて友達に出しています。それは現役の時から変わらないですね。私の父と母が二人で一緒に海外旅行に行った時に、お互いに絵葉書を出しあっていたんですよね。その影響が大きいかもしれない。現役時代は、海外遠征で同じ部屋になった人に、遠征先から手紙を出していました。すると帰国した時、忘れた頃に本人に届くことになるわけです。どうして遠征中に住所を聞いてくるのか、不思議がられたりしながらね(笑)。


―それはちょっとしたサプライズですね。どんなことを書かれるのでしょう?

長い時には1カ月間同じ部屋ということもありますから、その時の感謝の気持ちを書いたり、一緒にいる時には伝えられないことも書きますね。「寝息がうるさい」「歯ぎしりしました」とか(笑)。「ありがとう! ずっと持ってるよ」って言ってくれる選手もいたりして、すごく嬉しくなります。

そういうことを続けてきたら、「手紙を書くのが、すごく好きなんだね」って皆さんから言ってもらえて、「手紙が好き」って思ってもらえることが、とても嬉しいですね。


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『かく、がスキ』読者へ向けて、丸山さんにゲルインキボールペン「ジュースアップ」で書いていただいたメッセージ。


―最近では、SNSでメッセージのやり取りをするのがすっかり定着してきましたが、手書きとSNSとの違いは感じていらっしゃいますか?

SNSでやりとりするのは簡単だし、思いついたことをすぐに伝えられるけど、でもそれって誰でも同じことができるじゃないですか。「私が書いている」っていう風に見えてても、他の人が書いている可能性もありますよね。本当のところは見えないわけですから。

でも手紙のやりとりは、やっぱりその人の字だったり、性格や癖だったりも出るし、「一生懸命書いてくれたんだな」って思えて、もらったら私もすごく嬉しいんですよ。

私は返事が欲しいとか、お菓子を渡してその見返りが欲しいなんて思ってるわけじゃないんです。誰かが書いてくれた手紙の字を見ると、「あ、本当にそこにその人がいる!」みたいな気持ちになる。そこに書いてあるのは単なる字なんだけど、気持ちのやりとりができるっていうところが、手紙のいいところな気がします。やっぱり手書きはやめられませんね。



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丸山 桂里奈 さん 元サッカー日本女子代表 / タレント
1983年東京都生まれ。現役時代のポジションはフォワード。2002年、第14回アジア競技大会の北朝鮮戦でなでしこジャパン代表デビュー。03年、第4回FIFA女子ワールドカップ出場、04年アテネオリンピック、08年北京オリンピック出場。11年、第6回FIFA女子ワールドカップでは、伝説的な決勝ゴールを決めてチームを優勝に導く。12年ロンドンオリンピック準優勝。16年に現役引退、現在はタレントとしてバラエティー番組で活躍中。YouTubeのチャンネルも開設した。趣味は読書、ドライブ。特技はモノマネ(いっこく堂)。

丸山桂里奈さんオフィシャルブログはこちら 〉〉〉〉マルカリトーレ
丸山桂里奈さんYouTubeのチャンネルはこちら 〉〉〉〉マルっとカリっとさくさくチャンネル



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『丸山式「謎手紙」のススメ』(中央公論新社)

共演者に手土産と直筆の手紙を渡すことで有名な、元サッカー日本女子代表でタレントの丸山桂里奈さん。その手紙の謎すぎる内容がテレビ番組やTwitter、Instagramで話題となっている一方、実は相手のことをとことん考えて書かれた内容が、受け取った多くの方から絶賛されています。ではなぜ丸山さんは手紙を書くことを習慣にしているのでしょうか? メールとLINE全盛の今、なぜ手書きにこだわるのでしょうか? そして手紙が付いているのがなぜ「駄菓子」なのでしょうか? 丸山さん自ら、過去に書いた手紙を解説しながら、その秘密と魅力に迫ります。爆笑必至!あなたは「謎手紙」を読み解くことができるか!

中央公論新社 1,210円(本体価格1,100円)

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