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もっと知りたい!フリクション|♯1. 開発者に聞く、インキの仕組み

開発者に聞く、フリクションインキの仕組み
開発者の熱い思いが、インクを消した。|しっかり書けてしっかり消せるフリクションボール

 2007年の発売以来、全世界で販売を伸ばしているフリクションシリーズ。0.7mmのボールペンから始まったフリクションシリーズは、超極細ボールペンや蛍光ペンとラインナップを増やしています。勉強に、ビジネスユースに、さまざまな用途で“消える”が役立つフリクション。これまでどこにもなかった、“しっかり書けて、しっかり消せるボールペン”は、どのように誕生したのでしょうか。
 フリクションシリーズにはフリクションインキという温度変化で色が消える特殊なインキが使われています。そのフリクションインキの仕組みを、開発担当者のインタビューとともに紹介します。

フリクションボールイメージ画像
発売以来、大きな支持を得ているフリクションシリーズ。
explanation
フリクションインキの開発主任だった千賀さんにお聞きしました。
温度で色を変える「メタモインキ」が発想の原点
千賀さん

フリクションインキは、1975年に基本原理が発見されたメタモカラーというインキを改良研究し、進化させたものです。
 メタモカラーの原理は、ロイコ染料、顕色剤、変色温度調整剤を一つのマイクロカプセルの中に均一に混合し、封入して顔料化したものです。ロイコ染料とは、黒、赤などの色を決める成分ですが、単体では発色しません。しかしこれを顕色剤と化学的に結びつけると、黒、赤などに発色する特性を有しています。

 メタモカラーの最大の特徴は、ロイコ染料と顕色剤が封入されたカプセルの中に、さらに変色温度調整剤という材料を追加したことです。変色温度調整剤の種類を変えることで、インキ(マイクロカプセル)が変色する温度を自由に選べます。

「記憶するメタもカラー」の開発
千賀さん

メタモカラーは発見当初、温度が上がると色がゆるやかに消え、温度が下がると再びゆるやかに色が戻るという状態で、変色温度の感度が鋭敏ではありませんでした。そこで、この感度をより鋭敏にするために、変色温度調整剤の改良を進めていきました。

 まず最初に、変色の感度を非常に鋭敏に設定したメタモカラーが開発されました。ある温度で色が瞬時に消え、ほぼ同じ温度以下になると瞬時に復色するインキです。こうした感度の良いメタモカラーは、ビールやワインのおいしい飲み頃を示すラベルなど、さまざまな製品の示温剤として使われるようになりました。

 さらに、「メモリータイプ」と呼ばれる変色温度幅を広くとったインキの開発も行ないました。これは、一定の温度以上になると色が消えますが、色を戻すには、消えた温度より相当に低い温度にすることが必要なインキです。たとえば、常温の状態で黒く発色したインキが高い温度で無色になると、次に常温に戻ってもそのままの状態を維持し続けます。このインキは、大幅な温度変化が起こらない常温の状態なら、黒か無色のどちらかの色を記憶し続けるのです。この特性は、特殊な変色温度調整剤を導入することで達成された技術です。

 このメモリータイプの温度幅をさらに広くするよう研究し、誕生したのがフリクションインキです。フリクションインキは65度以上で消色し、復色させるためにはマイナス20度まで冷やす必要があります。このフリクションインキを使用したものが現在発売されているフリクションボールシリーズなのです。

<お話を伺った方>
パイロットインキ株式会社 第一開発部 千賀 邦行
※所属は取材当時のものです。
こすっても消しカスが出ない、ラバーの秘密

 フリクションボールの後端部に付いているラバー。この部分で筆跡をこすると、65℃以上の摩擦熱が発生してインキが消える仕組みです。
 強くこすっても紙を傷めない弾力性のある素材、何度使っても磨耗しにくい耐久性のある素材にこだわって、選定されたラバーです。

こすっても消しカスが出ない、ラバーの秘密|イメージ画像
いろいろなシーンで”消える”を活用。|フリクションシリーズのご紹介

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