紙の上では特別なワクワク感が味わえる[藤原 ひろ子 さん / 陶芸]

紙の上では特別なワクワク感が味わえる
[藤原 ひろ子 さん / 陶芸]

2023/9/8

      

都内の住宅街の一角にあるアトリエで、日常使いの器や小さなオブジェなどを制作する陶芸家の藤原ひろ子さんをご紹介します。

あなたの創作活動について教えてください

都内のちいさなアトリエで器やオブジェをつくっています。電動ロクロを使わず、主に手回しロクロによる手びねりという方法で作陶しています。器は日々ご家庭で使っていただくことを前提としたふだん使いのもの、オブジェも時計や燭台など、どちらかと言えば何かしら用のあるものをつくることが多いかもしれません。

創作のアイデアは
どのように生まれてくるのでしょう?

器の場合は日々料理をする中で「この料理に合う器がほしい」という想いがアイデアソースです。オブジェの場合は身近な自然である花鳥風月や町の風景など日々の暮らしで触れているものがモチーフ。住んでいる町を子どもと散歩するようになってから、それまで気づかなかった道端の草花や住宅の一軒一軒が目に留まるようになりました。日常生活そのものが全て制作につながっているのだと思います。

作品を創る上で
心掛けていることを教えてください

器もオブジェも、使う方の心を豊かにそして心地よくするものでありたいと考えています。ですから、例えば器なら、持った時手のひらにフィットする形になるように、「これでよし!」という声が聞こえるまで、時間がかかっても手を止めません。

あなたにとって「かく(書く・描く)」こととは?

ノートに万年筆でアイデアやデザイン画を描いている間は、想像があれこれ膨らみ、ワクワクドキドキがあって、心から楽しい時間です。紙の上は、土の強度や作品の構造上の制約にしばられず、ふわっと自由になれる気がします。日常の雑事に心をとらわれない電車の中や出先のカフェなど外の空間でスケッチする時の方が、良いアイデアが生まれるような気がします。

創造力の源は何ですか?

「粘土が好きすぎて、ずっと何かをつくり続けていたい」という強い想いです。本当に変態レベルの粘土バカなんです(笑)。もともと絵本作家が夢だったのですが、デッサン力に自信がなくてあきらめたという過去があります。陶芸に出合ってからずっと、粘土が好きという気持ちは変わっていません。二次元のデッサンは苦手でも、三次元の造形だとなんとかイメージを形にできるんです。気づけば30年近く続けていますが、今も「アトリエで仕上げる作品たちが待っててくれてる」ことが、私をいつも幸せな気持ちにさせてくれます。

photoトップメイン:架空の町「月町」のちいさな家のオブジェたち。 photo 01:使う人の心を豊かにする器。 photo 02:日々料理することがアイデアソースとなって作品が生まれる。 photo 03:粘土と向き合っていると、時間が経つのも忘れるほど無心になる。 photo 04:作品のデザインなどアイデアスケッチは、線のメリハリをつけて描くことができる万年筆で。 photo 05:モチーフ暮らしの身近にある花鳥風月が中心。

藤原 ひろ子さん 陶芸家
藤原 ひろ子(Hiroko Fujiwara)さん
大学のサークルで陶芸と出会い、会社員生活を経て、陶芸を再開。1999年、工房「アトリエ朔土(さくと)」を開く。以来20年以上にわたって日常使いの器やオブジェなどの作品をつくり続けている。毎年、銀座、恵比寿、西荻窪などのギャラリーで個展やグループ展を開催し、リピートを重ねる根強いファンに支持されている。

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