万年筆「キャップレス」
世界初、キャップのない万年筆「キャップレス」
昭和30年代半ば以降、国内ではスピーディに筆記できる機能や筆記具が求められるようになっていました。その中、1963(昭和38)年、世界初のキャップのない万年筆として「キャップレス」(回転式)が発売されました。文字どおりキャップのない万年筆で、ステンレス深絞りの加工技術など、その後の万年筆の発展に極めて大きな影響を与えました。第18回東京オリンピックが開催された翌1964(昭和39)年には、ノブをノックするだけで、ペン先の出し入れができるノック式キャップレスが発売されました。キャップレスは同年4月にパリで開催された国際ギフトフェアにおいて、数千点の出展商品のなか最優秀のオスカー賞を受賞、世界的に名声を博しました。また国内では1966(昭和41)年、キャップレスの発明と実用化に対して昭和40年度大河内記念技術賞※を受賞しています。
※大河内記念技術賞:大河内正敏博士の学界、産業界に残した功績を記念して1954(昭和29)年に設立された大河内記念会は、博士の遺志となった「生産のための科学技術の振興」を目的として、毎年大河内賞の贈賞を実施している。