PILOT

おしごと年鑑2017年版掲載

こすると消えるペンって、どういう仕組みなの?

ラバーでこすると書いたものが消えるペン「フリクション」は、どんな仕組みで消えているのでしょうか。開発したペンのことを、いろいろとご紹介します。

温度が高くなったら色が消えるインクが使われているんだよ!

書いたものが消えるペン「フリクション」には、60℃以上の温度になると色が消える「フリクションインキ」が使われています。
ペンについているラバーでこするとその摩擦熱で温度が高くなって、インクの色が消えているのです。

※「フリクション」は、(株)パイロットコーポレーションの登録商標です

秘密はインクにあったのね!

インクが消える理由は?

「フリクションインキ」は、特殊なマイクロカプセルが色の役割をしています。マイクロカプセルには3種類の成分が含まれていて、その組み合わせが温度によって変化します。
普段は眠っている変色温度調整剤が、60℃以上になると目を覚まして、色を消す働きをします。

「フリクションインキ」が誕生するまで30年!

今から40年以上前、一晩で色が変わる紅葉のようなインクを作りたいと考えた研究者がいました。書いた文字の色が変わらないインクを作ろうとみんなが努力していた中で、全く逆の発想をしたのです。

人とは違うことをやろう!

そうして、温度の変化で色が変わるインクが完成しました。さらに30年研究を続けることで、ペンのインクに使えて、摩擦熱で色を消すことができる「フリクションインキ」がついに完成しました。
ヨーロッパには、鉛筆やシャープペンシルではなく、万年筆などの消せないペンでノートに文字を書く国が多くあります。そこでヨーロッパで「フリクションボール」を発売したところ、子どもたちに喜ばれて大ヒットしました。
日本ではボールペンをよく使う大人をターゲットに発売したところ、やはり大ヒット。翌年からは次々と商品を発売して、人気シリーズになりました。子どもたち向けの商品も増えています♪

紅葉のように色が変化するインクを作りたい!
1975年 温度変化で色が変わるインク完成!
1976 温度で色が変わるインクを使った初めての商品(紙コップ)を発売
2002 こすると色が変わるペン「イリュージョン」発売
2005 「フリクションインキ」誕生!!
2006 ヨーロッパで「フリクションボール」発売
爆発的にヒットする
こんなペンがほしかったの!
2007 日本でもフリクションボール発売開始、大ヒット
2016 世界累計販売本数19億本を突破!!(シリーズ計)

パイロットの思い

子どもから大人まで、みんなが喜ぶ文房具を作っています

私たちの会社は、生活がもっと便利に楽しくなるような文房具を作るために、いろんな研究をしています。
フリクションボールの場合、何十年も研究を続けることで、インクの色が変化する温度のコントロールをしたり、インクの粒を小さくしたりすることに成功して、ペンとして発売できました。
みんなが喜ぶ文房具を作るには、技術の研究だけではなく、アイデアを生み出すことが大切です。こんな文房具があるといいな、というアイデアを大切にしてくださいね。

いろんなペンを今も研究中です。お楽しみに!。 もどる